会長挨拶

第42回日本骨・関節感染症学会開催にあたって

松下和彦

  • 川崎市立多摩病院 整形外科部長
  • 聖マリアンナ医科大学整形外科学講座 病院教授

この度、第42回日本骨・関節感染症学会を、2019年7月19日(金)~7月20日(土)の2日間にわたり、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)において、聖マリアンナ医科大学整形外科学講座で開催する運びとになりました。

昭和53年に日本骨・関節感染症研究会として設立され、平成21年から日本骨・関節感染症学会と名称が変更になりました。平成23年の第34回学会から「出席者が1つの会場で全ての新しい知識と問題を共有して頂きたい」という近畿大学浜西名誉前教授の思いから会期が2日間に延長されました。近年演題数が増えてきて会期を2日間にしても第2会場が必要になってきました。昨年のポスター発表を継承し、1つの会場で行いたいと思います。

人工関節の治療成績の向上や高齢者人口の増加により、本邦においては年間10万件以上の人工関節置換術が行われています。2004年の日整会学術プロジェクト研究によると、本邦の初回人工関節置換術における手術部位感染(Surgical Site Infection: SSI)発生率は1.36%と報告されています。 年間1,360例以上の人工関節のSSIが発症していることになります。ひとたび感染すると治療に難渋することが多く、患者の不利益や医療経済に与える影響は大きいのが現状です。近年デブリドマン、交換可能なモジュラー・コンポーネント交換,抗菌薬の適正使用によるインプラント温存 (debridement, exchange of modular component, antibiotics, and retention of implant:DEAR)により、インプラントを温存する方法が報告されています。

また、従来のSSI対策は、落下細菌など外因性感染に対するものであります。近年、手術患者自身が鼻腔などに保菌する細菌による、内因性感染を示唆する報告があります。しかし、内因性感染におけるSSIの感染経路は不明です。この感染経路を解明し、対策を講じることによりSSI発生率をさらに減少させることが可能となり、患者の不利益の解消や医療費の削減に役立つものと考えます。この様な状況下にあることから、テーマを「整形外科感染症治療のブレークスルーをめざして」といたしました。

主題は、①手術部位感染原因菌の侵入経路とその対策(一部演者指定)、②多職種による手術部位感染予防対策、③人工関節周囲感染の診断、④インプラント術後感染におけるインプラントの温存(一部演者指定)、⑤抗MRSA薬使用法の工夫、⑥新たな試み、⑦国際コンセンサス2018(演者指定)を予定しています。奮ってご応募をお願いいたします。

2日目の午後にICD講習会を併催いたします。テーマは「整形外科領域における感染対策と抗菌薬の適正使用」です。講師は,森井健司先生(杏林大学整形外科 教授)と國島広之先生(聖マリアンナ医科大学感染症学講座 教授)です。

この学術集会が、感染症に携わる医療従事者が一堂に会し、情報収集と資質向上ができる有意義な学会になることを目指しております。お一人でも多くの方のご参加をお待ちしております。